ハイペロンの中で最初に発見されたΛは、1953年に宇宙線に曝したエマルションに写っていた事象(event)から質量欠損を求める事で発見された。その後、宇宙線を利用した様々なハイパー核研究が行われたが、宇宙線は制御出来ない高エネルギー粒子であるので、現在はそのほとんどが加速器を使って行われている。 この様なハイパー核を研究する事で主に以下の情報を得る事が出来る。 (a)、YN相互作用 (b)、核構造 (a)、YN相互作用とはハイペロン-核子間に働く強い相互作用(強い力)の事である。この強い相互作用は未だ完全には解明されていない相互作用であり、NN(核子-核子間)相互作用は既に良く調べられている。それに対してYN相互作用はハイペロンの種類によってその力の大きさは異なり、更には斥力になるものもあると予想されている。従って、様々なYN相互作用を調べる事は強い相互作用の解明に非常に大きな役割を果たすものと期待されている。 (b)、核構造は液滴模型や殻模型など様々なモデルが提唱されて来た。それは非常に高密度な物質である原子核の内部を調べる事が非常に困難であったからである。それに対して、核子と異なる量子数を持つハイペロンはパウリの排他律を受けないので、核深部に束縛する事が出来る。従って、ハイペロンが核内のどこに束縛されたのかを調べる事は核構造を明らかにする上で非常に強力な手法である(これはハイペロンが核子とは異物であるからこそ出来る事である)。 |